第七章

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夏目が、この病院にいる。 さっき、何て言っていた? 救急車からの搬送ということは、救命? 麻子と知り合いなのだろうか。 頭の中を様々な疑問が駆け巡った。 「え、医学部ですか?」 「あ、いや、そういうわけじゃないんですけど」 答えながら、意識はすでに夏目に向いていた。 あいつに、会いたい。 話したい。 夏目なら、夏目に話せば、すべてが解決するような気がした。 「あの、すみません、俺、失礼します」 「え」 「ありがとうございましたっ」 病室を後にして、廊下に出る。 ロビーまで降りると、案内板を頼りに走った。 救命。 救命。 廊下の向こうに、見覚えのある後ろ姿が見えた。 「夏目っ」 俺はその背中に向かって叫んだ――
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