第八章

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結局、駅まで二人を見ながら歩いた。 別に腕を組んでいるわけでも手をつないでいるわけでもない。 友達と言われればそう見えるし、なんとも言えなかった。 それから、何度か二人でいるのを見かけた。 自分でも、無理矢理時間を合わせているのはわかっていたし、何をやっているんだと自分に問いかけたくもあったが、どうしようもなかった。 そうして、春が過ぎ、夏になって、彼女はいなくなった。 木曜日だけではない。 全ての曜日から、彼女は姿を消した。 色々と時間をいじっても見たが、再び彼女を目にすることはなかった。 それでも、俺の人生は何も変わらない。 秋が過ぎ、冬を越え、春を迎えて、本格的に受験モードになってくるが、俺の毎日は、相変わらず平凡だった。 「晃多、家庭教師なんてどう?」 母親がそんな提案をしてきたのは、俺の成績が伸び悩んでいるのを心配してのことだろう。 家庭教師を雇うお金は安くはないはずだが、それでも、私立の医学部の学費と比べれば、雲泥の差だ。 「カテキョ?」 「ええ、今年、東京大学の理科三類に合格した人で、いい人がいてね」 「理三!?」 驚いた。 その場所の敷居の高さは誰でも知っている。 大学受験の最高峰だ。
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