第八章

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「あの、大学じゃ……」 恐る恐るだったが、それでもその質問を口にしたのは、宗佑さんが見せる穏やかな表情は、孤独な人間のそれではないと感じたからだ。 宗佑さんはにこりと笑って、静かに口を開く。 「友達、って呼ぶのはおこがましいかもしれないけど、一緒にいてくれる人はいるよ。尊敬できる人たちだ」 よかった。 自分でも何様だと思ったが、本気で安心した。 「宗佑さんって、大学でどんなキャラなんですか?」 「もうちょっと愛想が悪いね。そいつらすぐ馬鹿なこと言うから、俺がどんどん口の悪い奴になっていく」 そう言って宗佑さんが笑う。 やっぱり、友達のいない宗佑さんなんて想像もできなかった。 俺の記憶の中にある、彼女とともに歩いていた宗佑さん。 あの時の宗佑さんだって、決して一人ぼっちには見えなかった。 だって、あんなに楽しそうに笑っていたじゃないか。 学校で、友達が誰もいなくて。 じゃあ、あそこだけが本当の宗佑さんの居場所だったのかな。 「好きな人とか、いないんですか?」 少ししつこいかと思ったが、宗佑さんと彼女が並んで歩いている絵が、どうしても頭から離れなかった。 「いるよ」 宗佑さんは、悩むそぶりも見せずに即答した。 俺は、どうしてだか、それはあの人のことだと確信して。
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