第八章

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「告白とかしないんですか?宗佑さんなら絶対いけると思うけど」 あの時、二人が恋人同士だったかなんて、たいした問題ではないのだ。 彼女は、絶対に宗佑さんのことが好きだった。 間違いない。 「しようとしたんだけどね、ダメだった」 「ダメって、振られたってことですか?」 告白してないのに振られるという状況もよくわからない。 他に、男がいたってことかな。 「そういうことになるかな。言う前に、逃げられちゃったから」 「え」 そんな。 「はは、かっこ悪いよね」 「宗佑さんはかっこいいですよ」 俺の知っている限り、一番だ。 「ありがと」 「ほんとに、尊敬してますから」 こんなセリフをよくもまあいけしゃあしゃあと。 しかし、不思議と恥ずかしいという気持ちはなかった。 「そう言ってもらえると嬉しいよ」 宗佑さんは柔らかに笑って、「でも」と言葉を続けた。 「俺は、そんなに立派な人間じゃないよ」 そう呟いた宗佑さんの表情には、言いようのない陰があった。 そこに現れていたのは、ただの深い哀しみだった。 見たこともないほど、深い深い哀しみ。 たった一つしか違わないのに、宗佑さんと自分の過ごした時間には、何千年という年月の差があるのではないかと思わせた。
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