第八章

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「あ、もちろんちゃんとしたプロに教わった方が確実だと思うから、余計だったらごめん」 「余計なんて、そんなこと」 あるはずがない。 「一応そそのかした分の責任は取ろうかと思って」 「そそのかされたつもりはないですけど、でも、教わるなら宗佑さんがいいです」 宗佑がにこりと笑った。 この人に出会えた自分を、幸運だと思った。 それから俺は文系として受験勉強を再スタートさせた。 当然のように夏の東大模試はズタズタの成績だったが、それでも焦りはなかった。 宗佑さんが「大丈夫」と言ってくれるだけで、本当に大丈夫な気がした。 数学と英語は申し分ないレベルで安定したし、社会の成績も徐々に上がった。 ゼロからのスタートだけに、着実に自分が伸びているのを感じられる分、むしろ一番楽しかったのが社会だ。 秋の模試も、決して十分と言える成績ではなかったが、それでもいけるという確信はあった。 気が付けば年が明けていた。 「うん、この分なら問題なさそうだね」 「これでも元理系ですから、センター物理くらいは任せてください」 「心強いな」 化学ほどには苦手でなかった物理だ、センター試験でコケる気はしなかった。
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