第八章

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「そして昨日、彼女がその男と一緒にレストランへ入って行ったんです。私はもう、気が気でなくて」 「それで……?」 「おかしかったんです、私。男がいない隙に彼女の元へ行って『あいつは誰なのか』と問いただしました。気が付いたら、彼女をテラスから突き落としていて……」 昨夜の記憶が蘇ったのか、最上さんは瞳孔を開いて、肩を震わせた。 なるほど、それで殺人未遂。 話の流れとしては、相手の男の方に手が出そうなものだが、ここで女の方に行くという思考もあるのか。 「テラスというのは、何階ですか」 「三階です」 三階。 厳しいな。 大怪我をしていないといいが。 「最上さんは、その、高橋さんを殺そうと思っていたのですか」 「そんなっ、まさかっ」 最上さんは慌てた様子で首を振った。 「彼女は私の女神なんです。殺すなんて、そんな、そんなこと……」 最上さんは、考えられないとでもいうように首を振った。 罪を軽くしようと演じている様子はない。 おそらく言っていることは本当だが、どこまで認められるだろうか。
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