第八章

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「では、これで話を進めてもでしょうか」 「はい」 本当にすべてこちらの要望通りに話が済んだ。 依頼を受けたのが今日のことであったというのが信じられないような急展開だ。 「あの」 「はい」 「最上の、いわゆるストーカー行為には、気付いていたんですよね」 高橋さんは質問の意図がわからないというように小さく首を傾げながら「はい」と答える。 「その、加護さんという方とは、どうして」 言葉を切る。 何を言っているんだ俺は。 余計な御世話もいいところだ。 「すみません、忘れてください」 俺は何か言いたげな表情を見せる高橋さんにお礼を言って病室を後にした。 どうしてもなにもない。 知り合いと食事を摂るのに、理由など必要なものか。 わかっているのに、聡明さのにじみ出る高橋さんの表情が頭の中でちらつく。 恋人でもない男性と食事に行くなんて、刺激を与えるような真似をどうして、と思うのは俺の我儘だ。 そんなの高橋さんと、相手の男性の勝手だ。 頭で理解しているはずなのに、そこに何らかの作為を見出そうとしている俺は随分とひねくれ者だ。
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