第八章

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「そ。だから結構仲いいんだよ。それにさ」 三池先輩はそこで言葉を切る。 それから、「いや、ごめん」と小さく首を振った。 言葉の先は気になったが、三池先輩の表情にさした僅かな陰りが俺の追求を阻む。 「歩く?」 「あ、はい」 俺たちは駅に向かって歩き出す。 スーツの俺とパーカー姿の三池さんが並ぶ様は何だか奇妙なそれだった。 「てか、この後時間ある?俺どっかで夏目待たないといけないんだけど、飯まだならおごるよ」 夏目……って。 「宗佑さんですか」 まさかここでその名前出るとは思わなかった。 先ほど高橋さんを見たときの衝撃が蘇る。 今日は、一体何なんだ。 「そっか、夏目お前の家庭教師してたんだよな」 「え?なんで」 三池先輩は呆れたように「そもそもお前の親に夏目紹介したの俺なんだけど」と人差し指で自分を指した。 驚いた。 そんなこと、全く知らなかった。
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