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「あー、いや、大したことじゃないんだ。俺の奥さん、あの病院に勤めててね」
「あ、そうなんですか」
克哉さんがすでに結婚しているということは知っていた。
俺と二つしか違わないのに子供までいるというのだから驚きだ。
「知りませんでした。奥さんお医者さんなんですか」
「うん、まだ研修医だけど」
「へえ、すごいですね」
純粋な感想だ。
しかし、言わせておいて何だか本当に大したことじゃない。
わざわざ言う必要もないと言われればその通りだが、少なくとも隠すべきことだとは思えなかった。
「奥さん、三池先輩と知り合いなんですか」
「ああ。もともと三池の友達で、試合の応援に来てたところに俺が声かけたんだよ」
「へえ」
ナンパと言っていい出会いに俺は少なからず驚いていた。
克哉さんがそんなタイプだとは思えない。
そんなにいい女なのだろうか。
克哉さんの奥さんを見てみたいという衝動に駆られた。
「三池もわざわざ言うことでもないと思ったんじゃない?」
そんな表情ではなかったと思ったが、それ以上は何も言わなかった。
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