第八章

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「彼にも、申し訳、なかったと」 「伝えておきます」 「ありがとうございます」 さらに二、三言葉を交わして、俺は最上さんとの面会を終えた。 手続きを済ませて警察署を後にする。 「さて、どうしたものか」 伝えておきますと言ったのだ。 会いに行くしかあるまい。 しかし、彼と会って一体何を。 いや、違う。 俺は会いたいのだ。 加護将晴という人に。 会って、問いたい。 彼女は一体、何者なのかと。 「ふぅ」 一つ深呼吸を挟んで、カバンの中からスマートフォンを取り出して電源を入れる。 メールが来ていた。 差出人の欄には克哉さんの名前がある。 なんだろう。 不思議に思いながらメールを開くと、『加護将晴から事務所に電話があったので、倉科の電話番号教えました。』という一文のみが表示される。 え? 何て? 内容が頭に入りきらない内に、手にしていたスマートフォンが震えた。
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