第八章

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「承知いたしました。では、当日」 『はい、当日よろしくお願いいたします。突然の連絡にも関わらず、迅速に対応していただきありがとうございます。失礼いたします』 電話を切ると、「ふぅ」と息を吐いた。 緊張したな。 まさか向こうから電話がかかってくるとは思わなかった。 短い会話だったが、加護将晴という人の真面目さや誠実さは容易に想像できた。 そしておそらくは、非常に優秀な人間であることも。 先ほどまでは、あくまで事件当時高橋さんと一緒にいた人間として彼を捉えていたが、加護将晴個人に対しての純粋な興味が湧いてきた。 それにしても、加護将晴が俺に聞きたいことって一体何だろうか。 小さく首を傾げてみたが、これと言って思い当たることはなかった。 まあいい。 会えばわかることだ。 俺は小さな深呼吸を一つ挟んでから、足を前へと進めた。
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