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「ひまわりが、お嫁さんへのものというのは、何故?」
「ああ、それは。私は新参者なので直接お会いしたことはないのですが、その息子さんというのが、一時期このお寺に住まわれていたそうで、馴染みのものが多いのです。このひまわりの花は、毎年お嫁さんの命日の日にその方が持ってくるのだと伺いました」
「毎年?二十年以上も?」
「はい、そのように聞いています。ただ、あまり寺のものと会いたくないのか、いつももっと遅い時間だと思うのですが、今年は珍しいですね」
どういうことだ。
ここが夏目の墓だとすれば、先ほどの話にあった住職の友人というのが、邦浩の父、即ち宗佑の祖父で、その息子が邦浩、嫁というのは真沙美のことだろう。
ということは、邦浩と真沙美の命日が同じ?
そんな偶然があるのか?
いや、違う。
「普段寺の人間に会わないようにしているということは、毎年供えている本人の姿を見たわけじゃないということですよね」
「はい、そうですね。十年以上前に一度彼を見かけた者がいるそうで、他の年のひまわりもきっとその方だろうと言われていますが、ここ数年直接お会いになったという話は聞いていませんね」
十年以上前、その時はまだ邦浩が生きていた。
本人が目撃されているというのならば、なるほど当時このひまわりを供えていたのは邦浩本人なのだろう。
しかし、この九年間、邦浩の死後、邦浩に変わってここへ通い続けたのは、宗佑のはずだ。
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