第十章

12/81
前へ
/507ページ
次へ
「可愛い子いた?」 「んー、まあちょこちょこ」 「お前が受付で話してた子、結構可愛くなかった?」 「あー、夏目のクラス聞いてきた子?」 何となく耳に入っていただけのお客さんの会話に、急に自分の名前が登場したことに驚いて危うく手にしていた皿を落とすところだった。 今日は高校の文化祭だったが、これといって何もしていない僕にとっては、普通の日と特に何も変わらない。 まだ日も高いうちから帰宅して、いつもと同じように定食屋のアルバイトをしていた。 夏目という名前に反応してぱっと声の方に視線をやると、うちの高校の制服を着た学生の集団が夕食を摂っいることに気付いた。 見覚えはあるが、ほとんどの人間の名前は出てこなかった。 「夏目?」 「ほら、四組のすげーイケメン」 「誰?そんなのいる?」 「俺わかる。一年のとき同じクラスだった。確か模試で全国一位取ったんじゃないっけ?」 「え?それマジ?俺模試の順位表とかチェックしたこともないわ。てか、何でうちの学校?」 「知らね」
/507ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加