第十章

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翌日、目を覚ました僕に、君との関係を終わりにしようとした僕に、「来週も、再来週も、一緒に帰ろう」と君は言ったね。 君の存在が、言葉が、僕にとって、どれほど大きな支えだったか。 君は、そんなこと、知りもしないだろう。 あの時、僕の傷を見た君が、泣いてくれたことが、また一緒に帰ろうと言ってくれたことが、どれほど嬉しかったか、想像もつかないだろうね。 君に会って、僕は、それまで君なしでどうやって生きてきたのか、思い出せなくなってしまった。 君は光だった。 真っ暗な世界の中の、たった一筋の光。 それが君だった。 好きとか、大切とか、そんな言葉では足りなかった。 君は、文字通り僕のすべてだった。 君を失うことは、あるいは僕にとって死よりも重い罰だった。 君さえ、高橋さんさえ笑っていてくれたのなら、他の何もいらなかった。 ただ、それだけを守りたかった。
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