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「須藤さん、落ち着いて」
「でも、将晴がっ」
「大丈夫だからっ」
僕は思わず須藤さんの体を押さえた。
そうしないと、今にも患者さんに飛びつきそうな勢いだった。
僕はこの人は須藤さんの彼氏だと直感した。
須藤さんを笑顔にさせる電話の向こうの彼だ。
「須藤さんっ」
僕はわざと大きな声を出して彼女の名前を呼んだ。
それから、まっすぐにその目を見る。
「この救命救急センターの一員として動けないのなら、今すぐここから出て行って」
大丈夫。
須藤さんなら大丈夫と、心の中で念じた。
その思いが通じたか、須藤さんは「できます。大丈夫です」とはっきりとした言葉で言い切った。
「本当だね?」
「はい」
須藤さんの瞳に、いつもの強さが戻った。
もう、大丈夫。
「救急車、もう一台来ます」
「須藤さん、そっちの患者さんお願いっ」
「はいっ」
僕は新たに到着した救急車の方へ須藤さんをやって、目の前の患者へ意識を集中させた。
救急隊員からの報告を即座に頭の中に叩き込んで患者に呼びかけた。
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