第十章

49/81
前へ
/507ページ
次へ
十年の月日を経ても、決して色あせることのない、僕の初恋。 君は、光だった。 あの時も、そして、今でも。 「君じゃなきゃ、ダメなんだ」 他の誰でもない。 君だから、愛した。 「ねえ、僕を……見て」 届くはずのない声だった。 わかっていたのに、言わずにはいられなかった。 これ以上、我慢できなかった。 「僕の、隣にいて」 そんな世界を、どれだけ望んだことだろうか。 僕だけを、見ていて。 ずっと、ずっと、いつまでも。 「君がいれば、他に何もいらない」 君が幸せでいてくれたらそれでいい。 そう思っていたはずなのに、君を、欲しいと思う僕は欲張りだろうか。
/507ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加