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「先月、墓参りに行ったか」
羽生刑事は突然そんなことを口にした。
僕は焦りを見せぬように、「はい」と答えた。
「ひまわりを持って?」
「そうです」
どうして、という問いはこの際意味をなさないだろう。
僕は静かに事態を悟った。
「毎年?」
「はい」
「いつから?」
「八年前です」
「その前は?」
「その前、というと?」
「九年前のあの日も、ひまわりは供えられていた。それは、お前じゃないな」
僕は小さく深呼吸を挟んでから、「違います」と答えた。
「邦浩か?」
「さあ。僕は知りません」
もう少し突っ込んでくるかと思ったが、羽生刑事は「そうか」と言って再び黙った。
程なくして、カバンの中で携帯電話が震えた。
翔太か。
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