第十章

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「いいよ。見れば?」 「失礼します」とことわって、僕は携帯電話を開いた。 メールは予想どおり翔太からのものだったが、そこに記された文面に僕は思わず首を傾げた。 返信すべきかどうか考えていると、羽生刑事が「着いたぞ」と言った。 顔を上げると、随分と格式高そうな料亭が見えた。 「ここですか」 「こういうとこ、来たことないか?」 「はい……」 駐車場に入り、車が速度を落とす。 慣れた手つきで駐車した羽生刑事は素早く車を降りた。 「あの」 「何だ?」 「翔太に、会いに行きましたか」 僕の問いに、「ああ」と短く答える。 なるほど、それで。 「いい友達だな」 八年も前に一年弱の時間を共にしただけの男だが、翔太が褒められることを素直に嬉しいと感じた。 「ええ」 翔太が何を話したのか気になったが、いずれわかることだろう。 どうやら事前に予約を入れていたようだ、羽生刑事が名前を言っただけでスムーズに個室へと通される。 すでに料理も決まっているのか、メニューらしきものはない。 何だか慣れないことをしているようで居心地が悪い。
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