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「お前はそれを知っていた。それでも行ったのは、当然問題に決着をつけるためだ」
「決着?」
「久保を口説き落とそうってのは、すごい発想だな色男」
「何の話ですか」
「きっかけの事故は、本当に事故か?」
膝の上で握った拳の爪が、手のひらに食い込む。
黙れよ。
頼むから。
「僕が突き落としたとでも?」
「真実はお前しか知らない」と羽生刑事は不敵に笑った。
「してませんよ、そんなこと」
僕は静かに答えた。
喉がからからに乾いていた。
「スキー旅行をきっかけにお前は渡辺、柳瀬と決別することになるが、そもそもお前がそれを決意したのは一徹の死亡時だ」
「さっきから、一体何の話をしているんですか」
「唐沢輝が、自分が一徹を殺したと言っている」
「なっ」
そんな馬鹿な。
「さすがにこれは驚きか?」
「そんな馬鹿なこと、あるわけないでしょう」
「どうして?殺したのは、自分だから?」
「馬鹿馬鹿しい。いい加減怒りますよ」
羽生刑事は、また小さく笑って、「お前は何もしていない」と口にした。
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