第弐話

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「まあ、彼処から抜け出せたから…」 それ以上に何を望む 今出来る最大限をするまで 「…生きて、やる!」 腰迄ある草を掻き分け 草が風に揺られ、擦れる音が耳を掠めていく 7~8m先、細長い草が自然の音とは違い、ガサゴソと大きく揺れた 揺れたその時、草むらから自分の倍あるかないかの高さの 大きな熊が二本立ちしたかと思うと此方に向かって走って来た 悲鳴をあげるかの如く 巨体を中心に草が四方に散らばっていく 私は突然の出来事で動揺してしまった それでも意識が覚醒したのは約2秒後 自分の立っている場所を確認し、右に避ける 地面は湿地、それに滑りそうな草 よく見て動かなければ足を滑らしてしまう 熊を避けた事により、熊はまた此方に向かって走って来る 鼻息は荒々しく野生の表情 どうするかなど冷静に居る自分に驚いたが、今すべき事は熊をどうするか ただそれだけ…。 「逃げ切れるかな…」
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