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「まあ、彼処から抜け出せたから…」
それ以上に何を望む
今出来る最大限をするまで
「…生きて、やる!」
腰迄ある草を掻き分け
草が風に揺られ、擦れる音が耳を掠めていく
7~8m先、細長い草が自然の音とは違い、ガサゴソと大きく揺れた
揺れたその時、草むらから自分の倍あるかないかの高さの
大きな熊が二本立ちしたかと思うと此方に向かって走って来た
悲鳴をあげるかの如く
巨体を中心に草が四方に散らばっていく
私は突然の出来事で動揺してしまった
それでも意識が覚醒したのは約2秒後
自分の立っている場所を確認し、右に避ける
地面は湿地、それに滑りそうな草
よく見て動かなければ足を滑らしてしまう
熊を避けた事により、熊はまた此方に向かって走って来る
鼻息は荒々しく野生の表情
どうするかなど冷静に居る自分に驚いたが、今すべき事は熊をどうするか
ただそれだけ…。
「逃げ切れるかな…」
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