第弐話

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枝というか幹というか それを両手に取り走った 目に写すのは熊、ただそれだけ 熊は気にする訳でも無く走る こちらに向かって 私が熊に近づいた時 熊は、二本立ちになり私に恐怖を与えようと雄叫びを上げた 耳につんざくような声に腰が引けそうになったが 今すべき最優先を行う 二本立ちした熊の下に滑り込み、熊が前足を下ろすとき 持っていた枝を両腕で熊の腹の中心の位置に支え固定する 熊は前足を下ろす勢いで太い物が腹に突き刺さった 呻き声を挙げ血を流す熊 下で枝を支える私に血飛沫が体にかかる 人間の血と違い獣臭を漂わせた赤黒い血が物を通じて滴り落ちてくる 二分過ぎだろうか 段々流れ出る血の量が少なくなっていく それから約3分 熊は死んだのかピクリともせず不安定な物の上で今までの体を硬直していた 私はほんの隙間から体を引き摺り熊の下から脱け出した 熊の下は赤黒い血の池が出来上がっていた 全体重で熊の左側から押す するとそれは、 鈍い音を起て静かに横たわり 大きな塊でしかなかった
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