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何分立っただろうか…
いや… 何分どころじゃないだろう
日の光が葉の擦れる音と共に差し込んでいたのが
今では、日の光は差し込んではおらず 怪しげに朧月が私を見下ろしている
『何時の間に…。』
自分でも驚く程時間が経つのが早かった
『はぁ、…少し抜けていたかもしれない。』
私が時間が経つのを忘れて無心になっていたなんて…
あの場所から抜け出せた開放感と喜び、そして哀しみ、高揚感
数え切れないいろんな感情が交差して 周りの変化に気がつけなかった
じわりとまた涙が流れ始める
『…』
あぁ、どんどん溢れて来る
何に対して涙を流しているのか
ちゃんとした理由が解らないのに
"涙"を流しているなんて
あの頃は私が泣く事で親子共々
殴る蹴るだの、痛め付けられていた
あの頃から涙など流す事など自分が哀れで
だけど、こうやって涙を流しても
誰も何も、私を否定しない
涙の流し方なんて忘れていたと思っていたのに
泣くことが苦痛出しかなかったのに
今は泣くことが
嬉しい、すごく嬉しい。
「ははっ、ない…て、‥よぉ、‥。」
しゃくりあげながら
止めどなく流れる涙が
頬を伝い
地面に吸い込まれていった
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