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暗い螺旋階段をかけあがる。
「ハアッ、ハァッ…」
胸は焼けるように熱く、足はどんどんと重くなってくるけれど、そんなのも気にならないくらいのとてつもない恐怖が追ってくるようで、私はがむしゃらに走っていた。
来ないで、来ないで―――
どうせ逃げたって、無駄なのに?
いや、いやよ、いや――――!!
運命を受け入れようよ、アリン=マグナート。
嗚呼…
ついに、来てしまった。
てっぺんの窓を開くと、朝日が射し込み、キラキラと金色に輝く。
綺麗な光景のはずなのに、私の目には残酷だった。
だって、これは何よりの証拠。
逃れられない血筋からの背負わされた運命。
どのくらい走ったのだろう?
私には立つ体力が残っていなかった。
フラフラと頼りない足取りで窓のそばに行き、ペタンと座り込む。
不意に涙が流れ落ちる。
ついに目覚めてしまうのね。
ジャックザリッパーの私の血が。
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