Prologue―青空―

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ねえ、碧。 私ね、今日から大学生になるんだよ。 晴れ渡った空を見上げて、声には出さず、そっと呟く。 顔を伏せても笑顔はそのままに、キャンパス内へと足を踏み出した。 桜並木が続く道を、風に髪を靡かせて歩く。 それだけで何だか感慨深くなる自分に、思わず笑みがこぼれてしまった。 大学生、か。 あれから一年以上経つんだなあ。 頭の中に、浮かぶ笑顔。 温かくて、眩しくて……ほんの少し、切なくなった。
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