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「大丈夫だと思ったんだけど……やっぱり大丈夫じゃなかった」
あはっと頭をかき、渋い顔の一維に向かって笑いかける。
「ありがとね、一維」
「別に……紗耶を助けるのは当たり前だし、それに……」
一維は一度言葉を切り、俯いて小さく笑った。
「約束、したしな」
ぼそっと呟くように言った一維から目をそらし、頷く。
どこを見ればいいのかわからなくて、ぼんやりと桜を見上げた。
……そういえば、碧と二人で桜を見たことって、なかったなあ。
仲良くなってから初めての春が来るまえに……いなくなってたもんね。
ふと考えて、それを追い出すように頭を振る。
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