3人が本棚に入れています
本棚に追加
よく走る文庫というレーベルがある。
そこから小説を刊行し、多くの人に読んでもらって、いずれ世間に名を轟かせる大作家になる。
それが僕の夢。
いや、夢だった。
僕はその夢を諦めた。
とある作品のせいで。
よく走る文庫の新人賞に何度か応募した事があるが、いずれも落選。
それでも諦めずに習作を重ねて応募していたが、ある時、僕はそれを辞めた。
何故かって?
新人賞で大賞をとった作品は、よく走る文庫から刊行される。
僕はそれを毎回買って、目を通していた。
全ての作品が凄く面白かったわけではない。
けど、つまらなかったわけでもなかった。
やはり新人の大賞なのだな、と読みながら思ったものだ。
そんなある時、また小説が刊行された。
新人賞の大賞をとった作品だ。
トモヒロマツ、とかいう作者の作品。
タイトルは「迷ったキャットが走りすぎ!」
タイトルで怪しい気配はあった。
でも一応、大賞をとっているわけだし……。
そう思い、期待しながら読んだ。
そして僕はそれをビリビリに引き裂いて燃やした。
……さて、ここまで言えば分かると思うが、「迷ったキャットが走りすぎ!」は、完全なる駄作だった。
これが大賞?
しかもシリーズ化?
その上、アニメ化?
おかしいだろ。
どう考えてもおかしいだろ。
だから僕はよく走る文庫への応募を辞めたのだ。
こんな作品を大賞に選ぶ編集部はどうかしてる。
そんなクソ編集部、こっちから願い下げだ!
僕はその日のうちに、よく走る文庫関連の本を全て燃やした。
物心ついた時から買っていた本も、全て。
こうして。
僕の夢は破れた。
最初のコメントを投稿しよう!