8.夢-本-

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急いで警察に通報した。 どうすることも出来ずうろたえていると、警官が到着した。 「泥棒に入られたという家はこちらですか?」 「はい、どうぞ中へ」 散乱した本を再確認した。 「このありさまなんですよ。どう見ても泥棒でしょう?」 「こうなる前、あなたはどうしてましたか?」 「え、寝ていましたけど……その隙に侵入されたんですね」 「先ほど、地震があったことをご存じないですか?」 「地震?」 「大きめの揺れがありましたよ」 「知らないです。まさか、寝ていて気づかなかったって言うんですか?本が散らばっているのもそのせい?」 「おそらくそうでしょう」 「そうですか……お騒がせしてすみませんでした」 警官は帰っていった。 泥棒ではなくてよかった──そう考えながら片づけを済ませた。 夢で何かしていた気がする。はっきりとは覚えていないが、つまりそのせいで地震がわからなかったということになる。 夢の記憶があれば、その何かを二度としようとは思わないだろう。 一人で頷いて、読みかけの本を手に取った。 -終-
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