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どの本も良作で、むさぼるように読み進めた。
昔から本が好きだった。
今の生活の半分以上は読書に費やしている。
むしろ読書して生きられるなら、ほかには何もいらないとさえ思っていた。
この夢は最高だと確信した。
何も気にすることなく、ずっと本を読み続けられるのだから。
十冊、二十冊、と読んだ本の数が増えていく。
そのたびに周りに積み重ねていった。
読んでは積み重ね、読んでは積み重ね、この作業を繰り返すうちに本の壁が出来上がっていった。
しかし、それがどれだけ高くても一向に気にしない。目の前に新たな本が出続ける限り読書を止めることはしなかった。
何百冊と読み、うずだかく積み上げられた本はすごく不安定になっていた。
ある一冊を読んでいるとき、一瞬の間、揺れた気がした。
構わず本に集中していると、本の壁が崩れ、頭上から降り注いだ。
それでも、俺は必死に本を掴み続けようとしたが、次第に意識は遠のいた──。
目を覚ますと、体の上に本が散らばっていた。
すぐ横にある本棚に収められていたはずの本だ。
部屋を見渡すと、ほかの本も散らばっている。
「なんだ、これ……泥棒か?」
俺は慌ただしく起き上がった。
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