8.夢-本-

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どの本も良作で、むさぼるように読み進めた。 昔から本が好きだった。 今の生活の半分以上は読書に費やしている。 むしろ読書して生きられるなら、ほかには何もいらないとさえ思っていた。 この夢は最高だと確信した。 何も気にすることなく、ずっと本を読み続けられるのだから。 十冊、二十冊、と読んだ本の数が増えていく。 そのたびに周りに積み重ねていった。 読んでは積み重ね、読んでは積み重ね、この作業を繰り返すうちに本の壁が出来上がっていった。 しかし、それがどれだけ高くても一向に気にしない。目の前に新たな本が出続ける限り読書を止めることはしなかった。 何百冊と読み、うずだかく積み上げられた本はすごく不安定になっていた。 ある一冊を読んでいるとき、一瞬の間、揺れた気がした。 構わず本に集中していると、本の壁が崩れ、頭上から降り注いだ。 それでも、俺は必死に本を掴み続けようとしたが、次第に意識は遠のいた──。 目を覚ますと、体の上に本が散らばっていた。 すぐ横にある本棚に収められていたはずの本だ。 部屋を見渡すと、ほかの本も散らばっている。 「なんだ、これ……泥棒か?」 俺は慌ただしく起き上がった。
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