第一話:いぬと巫女

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私には悪癖がある。 皮相浅薄な考え、 それは私にとって、 なんたる短所ともならなかったのだが、 この日、 初めて後悔することになった。 「ふー、やっとついた」 その日、私は一人暮らしを始めるために、苦労して見つけたマンション、 幻想館―― へ、引っ越してきた。 「やっとついたんだなー、早苗」 私がマンションを見上げていると、一人の少年が話しかけてきた。 茶髪の髪に、キリリとナイフのような目付き、学ランで、前を無造作にあけている、まさに不良と言った少年、幼なじみの東雲大地(しののめだいち)だ。 「あ、はい。かなり時間かかりましたよ。なんせ二三回迷いましたからね」 私は、疲れてため息をはくと、大地がいつも通り笑ってくる。 「いつもの皮相浅薄な考えだな。そんなんでよく引っ越し手続きとかできたな……」 そして、最後には何故か関心される、これもいつも通り。 長い付き合いだから、お互いをよくわかっている。
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