第一話:いぬと巫女

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「僕は早苗さまの為に存在しておりますので……早苗さまが不要とおっしゃるのでしたらこの命等当然に不要なので――」 「自分を大事にしてください!!」 と、さすがの私も叫んでしまった。 なんだこの人は……。 「何とお優しいお言葉……っ、貴女は僕の思っていた以上の御方……。どうか僕を貴女の僕(しもべ)に、いえ、犬にして下さい!」 引っ越し初日から、私は大変な人に目をつけられたようだ。 私は美少女だから、しょうがないことなのだが……。 これはさすがに困った。    ◇◆◇ 「あのー、ここのシークレットサービスの方はこうも過剰なのですか?」 「早苗さま、魚の骨をお取りします」 「結構です!」 食事もろくに出来ない……、生活のサポートなんて嘘だ……詐欺だ。 「断ったんじゃなかったの?」 大地くんが様子を見にきてくれている。 その前であるというのに、彼の態度や行いが変わらない。 なんたる従順な犬……。
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