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「部員も五人に増えたから正式な部活にしたいけど、手芸部を良く思わない先生は多いわ」
それはそうだろう。
屋上立て籠り、手芸部室爆破、放送室をジャックした上での爆破。
十分に寛大だ。退学にならないだけマシだと思う。
因みに、五人目の部員は茜子だ。
手芸部に入部するためだけに、わざわざこの学校に転校してきたのである。
兄の僕が言いたくないけど馬鹿だと思った。
「五人になったのは良いことだけどさ、それと通り魔にどんな接点があるの?」
「要領が悪いわね――」
朝陽が振り返る。その顔は何故か得意顔で、その表情には家に帰りたくなる気持ちにさせる魅力がある。
「そいつを捕まえたらアタシ達の株は上がるってことよ」
僕ならその株は絶対買わないな、朝陽が付いてくるなら借金してでも全力で売る。
「つまりこういうこと? 僕達手芸部で通り魔を捕まえる」
「そ」
淡白な返事で髪をかきあげる動作は悔しいけど様になっている。
この美少女の人格が朝陽なのが本当に勿体無い。
「止めた方がいいんじゃない? 僕以外は女の子だよ?」
「アンタって、一応アタシのことを、女として見てたんだ」
朝陽が意外そうな顔をする。
朝陽に関しては二割程しか見ていないのは内緒だ。
バレたら包丁で刺されそうだし。
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