悲壮

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以後、誰とも言葉を交わさないまま放課後になった 佐藤君は授業に戻ることなく早退したようで、すでに教室に姿はなかった 1日過ごしていく中でわかったことは、ことはクラスにとどまらず学年全体に広まっていることだった 廊下を歩く度向けられる好奇の目がそれを私に気づかせた だれも私に何も言うことなく、冷たい一瞥を向けて教室を出て行く中、前田君が静かに私のところに歩み寄ってきた 「…帰る?」 ぽそりと私に呟いた前田君 他の人と違ってあまり私を軽蔑してはいないように見えた いいのだろうか 前田君は 「帰るけど…前田君も何か言われちゃうかもしれない…」 前田君はそれに対して何も言うことなく荷物を肩に掛けた 人々の視線を感じながら私達は以前のように学校を出た
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