悲壮

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前田君はそう一言だけ言ってまた前を向いて歩き出した それを見て私も彼のあとを歩く 少し後ろを歩いていたと思っていたのに、前田君があわせてくれたのか、いつの間にか私達は二人肩を並べていた なにも言わない前田君の優しさに、私は涙が出そうだった 桜ヶ丘に着いて別れるとき、前田君は言った 「俺はいつも自分でしたいようにしてるから、松浦さんも俺には普通にしてて。じゃあ、また」 そう言って彼は背を向けて歩き出した 「またね…」 なんだか、悲しいのか嬉しいのかわからないけど 涙が出た
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