悲壮

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座りこんだまま今の状況を情けなく涙していると遠くからかすかに足音が聞こえた それは、どこかで止まることなく真っ直ぐに廊下を歩いてくる だれ もう誰も来ないで 願いも虚しく足音は止まらない 私は顔を下に向けた ぽたりとまた雫が落ちた 足音はもうすぐそこ もし5組の教室に来る人だったら床に座り込んで泣いている私を、どう思うかな またさっきみたいに何か言われちゃうのかな 私はもう、ひとりぼっちなの? 教室のドアが開いた 「泣いてるの?」 一瞬よぎったのは、前田君の顔 私は無意識に顔を上げて絶句した
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