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私はその手を振り払って後ずさり、岸本さんと距離をとった
岸本さんは弾かれた手をチラリと見て、また私に視線を戻す
ガラス玉みたいに透明な彼女の目は、冷ややかに私を見下ろしている
この目で見つめられると、体中の液体が凍りそうだ
「…やっとあんたの泣き顔見れた。私ずっとあんたを泣かせたいと思ってたのよ。」
岸本さんは自らの髪を弄びながらふと微笑した
「転入初日からちやほやされて、可愛いからっていい気になって、男たぶらかして佐藤までとってさ」
だからそれは不可抗力だったのに
私はもはや返す言葉も見つからず、ただ黙って岸本さんの話を聞く他ない
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