悲壮

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あるいは嫌がらせを受けている私を見て良心に負けたとでもいうのだろうか でもそれなら今までの岸本さんの行動が矛盾している あれだけのことをしていたのに、途端に良心の呵責に負けることなどあるのだろうか 「…………」 岸本さんは相変わらず手を差し出したままの大勢で私を見ているが、その表情は人形のように無表情で感情がわからない でもそもそも、私自身も彼女の恋馳せる表情と嫉妬に燃える表情しか見たことがないのだ わからない 気が変わったのかもしれないし、別に和解できるならそれに超したことはない 私が恐る恐る手を伸ばすと、がっしりと岸本さんがそれを掴んだ
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