屯所にて

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「武士たる者は、いつ戦場(いくさば)に出ても、その志に恥じない備えをしなけりゃならねぇ! その備えを怠って、死ねば大恩ある会津公と局長の顔に泥を塗る事になる! これでも士道不覚悟じゃねぇとぬかしやがるか!?」土方の言葉に、さすがの沖田も言葉を失った。 この男にとって、近藤という存在は兄であり、父であり、、いやそれ以上の存在である。 ある意味『神仏』にも等しい存在である。 自分の行いが、その近藤の面目を失わせかねない事を指摘され、沖田は大きな衝撃を受けていた。 顔面は蒼白。 膝に置いた両の拳は小刻みに震えていた。 ……ちったぁ、こたえた様だな…… 沖田の様子を見て、土方は内心胸を撫で下ろした。 しかし、ここは後一押ししておくべきだろう。 「しかし今日までの君の格別の働き、隊として認めぬ訳にはいかぬ」 土方は一旦言葉を切り、ぐっと沖田を睨み付ける。 「そこで今回に限り、明日一日だけ猶予を与える。その剣を買い上げるも良し、別の剣を選ぶも良し。嫌ならぁ、、判るな?えぇ?沖田『君』」
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