28人が本棚に入れています
本棚に追加
「それでは、陽美の19歳の誕生日を祝って…
カンパ~イ!!」
今日が陽美の誕生日という事で、ライブ後の打ち上げはメンバー4人でしようと、いつものファミレスに集まっていた。
「みんなありがとう!
これから…も…よろしく…な…。」
言いながら涙ぐむ陽美に
「おぉ?
陽美ちゃんって意外に女の子じゃん。」
ちゃかす拓也に
「うるせー!」
手で涙を拭きながら言ったが、いつもの迫力はなかった。
「でもホント意外。」
礼二もニコニコしながら言うと
「こんな…」
陽美が話し始めた
「こんなふうに誕生日祝ってもらった事なかったんだ。
父親いなかったからさ…」
「母さんずっと働いてたから…毎年、家に帰ったらテーブルの上にコンビニのケーキ置いてあるだけの誕生日だったんだ…。」
「だから…誕生日嫌いだった…。」
陽美はそう言うと、両手で顔を押さえて泣きじゃくった。
「これからは、毎年楽しい誕生日にしてやるよ。
ほら、ろうそく消せよ。」
拓也が優しく言いながら、陽美の肩に手を置いた。
「うん、ありがとう。」
陽美は涙でくしゃくしゃになった顔を上げて微笑んだ。
「♪ハッピバ~スディ トゥ ユー……♪」
礼二が歌い始める。
歌が終わり、陽美が勢い良く19本のろうそくの火を吹き消すと
「さすがボーカリスト!
肺活量が違うな!」
英太が笑顔で言いながら拍手をする。
「ホントにみんなありがとう…。」
また泣きそうになる陽美に
「おいおい、似合わないんだからもう泣くなよ!」
拓也がオデコをつつきながら言うと
「似合わなくて悪かったな!」
涙顔で陽美が睨む。
「やっぱりその方が陽美さんらしいよね。」
礼二も笑いながら陽美をちゃかすと
「殴るぞ!」
そう言って陽美は拳を礼二の前に突き出した。
「だんだん調子出て来たな!」
英太の言葉に微笑む陽美。
その後4人は2時間程楽しく話しながら、陽美の誕生日を祝った。
最初のコメントを投稿しよう!