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「昨日はすみませんでした。」
陽美に殴られて鼻血を出しながら部屋に戻った拓也は、その後一人で帰ってしまったのだ。
その事を謝った拓也に彩子は…
「気にしなくていいよ。
それより何があったの?
ナンパしたら殴られたって…。」
「ナンパっていうか、凄い歌が上手い女居てさ…
一緒にバンドやろうって言ったら殴られた。」
「何それ!?
バンドに誘っただけで殴られたの?
その子おかしいんじゃない?」
「いや、前にも公園でスカウトっていうか、ナンパして振られてるからさ。」
「え?拓也君ってそおゆう人なの?
ちょっとがっかり…。」
「すみません…。」
「別に謝らなくていいけど…
っていうかバンドやってるんだ?」
「やってるっていうか、これから始めようと思ってメンバー探してるんですよ。」
「ふぅ~ん…
もしかして、北海道から出てきたのは音楽やる為?」
「はい。」
「そうなんだ?
凄いね!
夢、あるんだね…
凄い凄い!頑張ってね。」
彩子は何度も小さく飛び上がり、手を叩きながらそう言った。
「ありがとうございます。
でも、なんにも出来ないまま4ヶ月も経っちゃって…
最近ちょっと凹んでるんですよね。」
「大丈夫だよ。
頑張ってれば絶対いい事あるよ。
早くメンバー見付かるといいね。」
「はい、ありがとうございます。」
彩子に励まされて、拓也は少し気持ちが軽くなった気がした。
「よしっ、私が拓也君のファン1号ね!
たくさん応援するから頑張ってね!」
彩子はにっこり笑いながらそう言って休憩室を出ていった。
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