4・彩子

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「昨日はすみませんでした。」 陽美に殴られて鼻血を出しながら部屋に戻った拓也は、その後一人で帰ってしまったのだ。 その事を謝った拓也に彩子は… 「気にしなくていいよ。 それより何があったの? ナンパしたら殴られたって…。」 「ナンパっていうか、凄い歌が上手い女居てさ… 一緒にバンドやろうって言ったら殴られた。」 「何それ!? バンドに誘っただけで殴られたの? その子おかしいんじゃない?」 「いや、前にも公園でスカウトっていうか、ナンパして振られてるからさ。」 「え?拓也君ってそおゆう人なの? ちょっとがっかり…。」 「すみません…。」 「別に謝らなくていいけど… っていうかバンドやってるんだ?」 「やってるっていうか、これから始めようと思ってメンバー探してるんですよ。」 「ふぅ~ん… もしかして、北海道から出てきたのは音楽やる為?」 「はい。」 「そうなんだ? 凄いね! 夢、あるんだね… 凄い凄い!頑張ってね。」 彩子は何度も小さく飛び上がり、手を叩きながらそう言った。 「ありがとうございます。 でも、なんにも出来ないまま4ヶ月も経っちゃって… 最近ちょっと凹んでるんですよね。」 「大丈夫だよ。 頑張ってれば絶対いい事あるよ。 早くメンバー見付かるといいね。」 「はい、ありがとうございます。」 彩子に励まされて、拓也は少し気持ちが軽くなった気がした。 「よしっ、私が拓也君のファン1号ね! たくさん応援するから頑張ってね!」 彩子はにっこり笑いながらそう言って休憩室を出ていった。
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