3・打ち上げ

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「お疲れさま。 楽しんでるところお邪魔して申し訳ないね。」 スーツを着た40代位の男と、30前後位の女性が打ち上げの席にやってきた。 「○○○○の山下です。」 「同じく○○○○の竹内です。」 誰もが知っている、大手プロダクションの名前に、全員言葉が出なかった。 「そんなに緊張しなくていいよ。」 山下は笑顔でそう言ってから 「今日はChain reactionのステージを見に来たんだけどね…Jewel Wingのステージにもぶったまげちゃってさ。」 「結論から言うとね…2つともウチで欲しいって事になって、打ち上げにお邪魔しちゃったわけ。」 「お…俺達もですか?」 礼二が信じられないという顔で言った。 「そうだよ。」 あっさり言う山下に 「でも…俺達まだ結成して2ヶ月ちょっとだし、ライブも今回が初めてなんですけど…。」 と自信なさげに言った。 「ほ~…結成2ヶ月か? それは意外だな。」 山下の言葉に、横に居る竹内も 「えぇ、もっとキャリアあると思いましたね。」 と頷いた。 「もちろん…」 再び山下が口を開く 「今すぐデビューってわけじゃないし、特にJewel Wingの方は、もっとライブの経験とか積んでもらわないとダメだけどね。」 その後は竹内の方から、これからの活動をプロダクションがバックアップするとか、バンドのレッスンも専属のトレーナーを付けて行う等、1時間程話しがあった。 「あとの細かい事はまた連絡するので、今日はこのへんで失礼するよ。」 そう言って、二人は帰って行った。 「なんかいきなり凄い事になったな…。」 まさかここまで具体的な話しになるとは思ってなかったので、さすがに雅也も驚いていた。 「あらためて、2つのバンドの前途を祝して…」 礼二がグラスを持って立ち上がった。 「おいおい、年のわりに言い方古風だな。」 ちゃかす陽美に 「めでたいんだから細かい事言わないで下さいよ!」 膨れっ面で言うと 「さぁ、立った立った!」 みんなを促した。 「じゃあ、カンパ~イ!!」 みんなは、それぞれの頭の中で自分達の未来を描きながら、グラスの中身を一気に飲み干した。
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