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「お疲れさま。
楽しんでるところお邪魔して申し訳ないね。」
スーツを着た40代位の男と、30前後位の女性が打ち上げの席にやってきた。
「○○○○の山下です。」
「同じく○○○○の竹内です。」
誰もが知っている、大手プロダクションの名前に、全員言葉が出なかった。
「そんなに緊張しなくていいよ。」
山下は笑顔でそう言ってから
「今日はChain reactionのステージを見に来たんだけどね…Jewel Wingのステージにもぶったまげちゃってさ。」
「結論から言うとね…2つともウチで欲しいって事になって、打ち上げにお邪魔しちゃったわけ。」
「お…俺達もですか?」
礼二が信じられないという顔で言った。
「そうだよ。」
あっさり言う山下に
「でも…俺達まだ結成して2ヶ月ちょっとだし、ライブも今回が初めてなんですけど…。」
と自信なさげに言った。
「ほ~…結成2ヶ月か?
それは意外だな。」
山下の言葉に、横に居る竹内も
「えぇ、もっとキャリアあると思いましたね。」
と頷いた。
「もちろん…」
再び山下が口を開く
「今すぐデビューってわけじゃないし、特にJewel Wingの方は、もっとライブの経験とか積んでもらわないとダメだけどね。」
その後は竹内の方から、これからの活動をプロダクションがバックアップするとか、バンドのレッスンも専属のトレーナーを付けて行う等、1時間程話しがあった。
「あとの細かい事はまた連絡するので、今日はこのへんで失礼するよ。」
そう言って、二人は帰って行った。
「なんかいきなり凄い事になったな…。」
まさかここまで具体的な話しになるとは思ってなかったので、さすがに雅也も驚いていた。
「あらためて、2つのバンドの前途を祝して…」
礼二がグラスを持って立ち上がった。
「おいおい、年のわりに言い方古風だな。」
ちゃかす陽美に
「めでたいんだから細かい事言わないで下さいよ!」
膨れっ面で言うと
「さぁ、立った立った!」
みんなを促した。
「じゃあ、カンパ~イ!!」
みんなは、それぞれの頭の中で自分達の未来を描きながら、グラスの中身を一気に飲み干した。
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