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「ずいぶん眠そうだね?昨日遅かったんでしょ?」
バイト先の休憩室。
あくびばかりしている拓也に彩子が話し掛けてきた。
「はい…盛り上がっちゃって…。」
「やっぱりね。
それにしても凄かったね!
拓也君達のステージ、鳥肌立っちゃったよ!」
「ありがとうございます。
あの後打ち上げにスカウトが来て、これからの活動をバックアップしてくれるって話しになったんですよ!」
「えぇ~!!凄いじゃない!
初ライブで、もうスカウト?」
「はい。
元々スカウトはChain reactionを見に来てたんだけど、ステージ見て、俺達にも声掛けてくれたんですよ。」
「そうなんだ?
Chain reactionって、拓也君達の後に出たバンドだよね?」
「はい。
上手いし曲も良いし、最近人気出てきたからスカウトが目を付けてたらしいんすよ。」
「へぇ~…少し見たけど、私は拓也君達の方が良かったけどな。」
「ありがとうございます。
でも、凄く良いバンドですよ。
メンバーみんな良い人だし、すっかり仲良くなっちゃって…。」
「それで盛り上がっちゃったんだね?」
「そうなんですよ…。」
笑顔で話していた二人だったが、彩子は急に真顔になって拓也を見つめた…。
「昨日のステージ見てね…拓也君の事、もっと好きになっちゃった。」
拓也はなんて言って良いかわからず…
「いつも突然ですね…ホテル行きます?」
ちょっとおどけて言ったのだが…
「うん、いいよ。」
真顔で答える彩子に
「あ…いや…あの…冗談ですよ。」
しどろもどろに言う拓也を見て、彩子は思わず吹き出した。
そして、ちょっとため息を漏らしながら
「も~う…人が勇気出して告白したのに…そのリアクションはないよね~。」
「すみません。ただ…。」
「ただ?」
「今は恋愛とかまったく考えてないっていうか…バンドの事で頭いっぱいなんですよ…。」
「ふぅ~ん…ホントにそれだけ?」
「え?」
「他に好きな子居たりして…例えばボーカルの子とか?」
「ないない、それはないですよ!」
笑いながら言う拓也に
「どうして?可愛い人じゃない?」
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