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「な、何でしょうか」
私が男の子の顔を見つめると、腕をひかれ、何故か抱き締められている形になった。
「!?やっ止めてください!」
ドンッと男の子を突き飛ばす。
男の子はビックリした顔つきで私を見つめてきた。
「何?何かそっちが寂しそうにしてるから抱きしめたんだけど。俺に抱き締められて嬉しく無いわけ?」
「はぁ!?……ここまで連れてきてくれたのは感謝します、ありがとうございます!」
いつの間にか私たちの周りには人だかりができていた。
「でも、いきなり何するんですか!?私は抱き締められても嬉しくないです!嬉しいじゃなくてムカつく!」
一気にまくし立てる。男の子は最初はポカン、とした顔で私を見ていたけれど、いきなり笑い出した。
「……何、あんたおもしろい。…名前何て言うの?」
周りの人の目線を無視し、男の子はクスりと笑いながら私に近づきそう言った。
私は答える気はない、と睨み付ける。
「ぁあ、さっきのは謝る。ごめん。……で、何て言うの?」
男の子が謝まったことにより、周りの目線がかなり痛くなってきた。
怖くなり職員室へ逃げようとする私を「答えるまでは逃がさない」とでもいうような笑顔を向ける。
「……金澤皐月」
しかたがないので名前を教える。「皐月ちゃん、これからよろしくね」
チュッ
……はい?
男の子は私の手の甲にキスをしてきた。
キスをしてきやがった。
「じゃあねっ」
男の子はニコッと笑い、その場から去っていった。
「な、何なの…」
キャーギャー
と、
周りにいた女子たちが悲鳴をあげはじめ命の危険を本能的に感じた私は、職員室へ逃げた。
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