17人が本棚に入れています
本棚に追加
**
「金澤皐月です。よろしくお願いします」
職員室で担任の先生に挨拶し、教室へ行き、また挨拶をする。
「金澤の席は…あそこに座って」
先生に言われた席は窓際一番後ろという最高の場所。
さっきの男子のこと以外は、運がいい気がする。
席につくと、前の席の女の子が振り向いた。
「私、市川鈴華。よろしくねー」
「よろしくね、市川さん」
「鈴華でいいよ。すーずーかっ」
「じゃあ……鈴華ちゃん」
「むっ……まぁいいか。ねっ皐月ちゃん。もしかしてさっき職員室のま……」
「おい、市川と金澤。静かにしろ」
鈴華ちゃんとしゃべっていると先生に怒られた。学活中だから当たり前だけど。
「ちぇっ。はーい、なっちゃん先生」
「おいっなっちゃんって言うな!」
あはは、とクラスの生徒たちが笑う。
中川陸雄先生。
通称なっちゃん先生。
まだ詳しくは知らないけれど、20歳前半で反応が面白いからと生徒たちから慕われているみたい。
「じゃあ今日の連絡は…」
最初のコメントを投稿しよう!