転入、出会い

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「大変だねー」 周りの生徒もいつの間にか少なくなっていて、鈴華ちゃんの言葉がよく聞こえる。 「私もさ、転勤族だったからよくわかる!これからよろしくねっ皐月ちゃん!」 「よろしくね、鈴華ちゃん」 にこりと笑いかける。 人が良さそうな鈴華ちゃんを騙したと思うと申し訳ないが、いい友達に慣れそうな気がする。 ** 初日の授業が終わり、帰り支度をしていると鈴華ちゃんが私を待ってくれていた。 「…よし」 「終わったみたいだね。いっしょに帰ろうっ……寮までだけど」 鈴華ちゃんはへなっと笑い私の手をひいて歩き出した。 しばらく歩いていると鈴華ちゃんがそういえばさ、と話しだした。 「皐月ちゃんさ、朝職員室の前に居なかった?」 さっきのことか。 思い出すだけで少しムカつく。 「あー。うん、いた」 返事が素っ気なくなってしまった。 ――こんな返事じゃ嫌な人に思われちゃったかも。 だが、私の心配は必要なかったみたいだ。 鈴華ちゃんは「やっぱり!」と楽しそうに笑った。
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