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「ここからは私が話しましょう」
事務所説明、給料など基本的なことを東条さんが話したころに社長が口を開いた。
「まず、お願いしなければならないことがあります」
ゴクリ
私は唾を飲み込んだ。
「皐月ちゃんには私の事務所が運営する芸能専門科がある学校へ転入してもらいたいのです」
転入…。
私は今いる高校から転校しなければならないということだ。
まだ入学して半年もたっていないが、いざ転校するのは悲しい。
「……もし、転校したくないのなら、この話を無しにしてもいいのですが…」
この話とはデビューのことだろう。私のデビューを喜んでくれた母はやはり悲しいのだろうか。
ちらり、と母を見ると真剣な表情をしていた。
「判断はあなたがしなさい」
そんな声が聞こえた気がする。
私は覚悟を決め、口を開いた。
「わかりました。転入します」
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