17人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぇ、ぁ、あの…」
「何?あんたが誰かいないのかって言ったからいるっつったんだけど」
「ぁ、いや、……ごめんなさい」
……じゃなくて。
ここはどこなんだろうか。本来の目的は……
「その、いきなり申し訳ないんですが職員室はどこかわかりますか?」
最初に職員室に行かなくてはならない。せっかく人に会ったんだから聞いておかなくてはね。
「……こっち」
「ちょっ!」
グイッ
その男の子は私の腕をひいて歩き出した。
「……」
無言の中、長い廊下を二人で歩く。
き、気まずい。
会話をしようと何か話題を探し、うろたえる私。だけど男の子はそんなことは気にしていないみたいだ。
私の腕をひいてどんどん歩いていく。
「ねぇ、あそこ」
「何、あの子。なんで…」
廊下で人とすれ違う度に女子が私たちを睨む。
正確には私をだけど。
……なんでだろう。
「ここだよ」
しばらく歩くと、『職員室』というプレートが垂れ下がっている教室の前に着いた。
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
ニコッと男の子が笑った。
「じゃあ…」
私が職員室に入ろうとすると、男の子が私の腕をつかんだ。
「ぇ…!?」
最初のコメントを投稿しよう!