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いつも通りの朝…………のはずだった。
なぜか右腕が動かない。
まるで金縛りあったみたいに。
(…………何だ?)
恐る恐る掛け布団をめくってみた。
「はっ?」
俺は理解に苦しみ、しかも硬直した。
理由はお約束みたいな事だ。
春姉が俺の腕を抱き枕のようにして寝ている。
もちろん俺が寝る時には居なかった。
(いつの間に…………)
「起きろ春姉。朝だぞ」
この状況がヤバイのでとりあえず起こす事に専念する。
格好がかなりラフだったので、なるべく見ないように。
「ふああ~~。おはよう、ゆうくん」
欠伸をしながら、体を伸ばしている。
「おはよう。それより何で春姉が居るんだ?」
「何でってゆうくんの寝顔見てたら寝ちゃったみたい」
春姉は可愛らしく舌を覗かせた。
「それにやっぱり…………ゆうくんの寝顔は可愛いね」
満足そうな笑みだった。
言い返す気力が失せた。
てか何言っても無駄な気がする。
「あっ、そうだ。今日からゆうくんの学校に教育実習に行くんだ。よろしくね」
突然の爆弾発言。
当然俺は再度固まった。
(なるほど、近くなるとはこの事か…………)
俺はどうなるのだろうか。
間違いなくいつもより疲れる。
それは確実だった。
「お願いだから学校では“ゆうくん”って呼ばないでね」
無理だと思うが、一応言っておく。
「えっ、何で?」
やっぱり無駄だった。
「もう好きにしてください」
もう諦めて、どうにでもなれって感じだ。
学校が急に怖くなった。
(他の野郎に殺されるな)
覚悟を決めて学校に行く事にした。
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