季節外れの転校生

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何だかんだであれからは特に問題は起こらなかった。 しいて言うなら、真由香が、 「今日のお弁当味違うね」 といつも通り勝手に俺のおかずを食べて言った事だ。 (その間中ずっと美沙が小悪魔のように見えたな) 確実に面白がっていた。 うん、間違えない。 忘れていたが今の状況も美沙が仕組んだに違いない。 なぜなら、小鳥遊と一緒に買い出しを任されてたからだ。 二人で並んで歩いていると恥ずかしいし、気まずい。 それは向こうも同じようだ。 目が合うたびに逸らされる。 「小鳥遊ってどこから来たの?」 とりあえず、質問してみた。 「えっと、東の山を越えた隣の県からです」 ここからだと1時間半ぐらいの場所だと思う。 意外にも春姉が住んでいる町だった。 「へえ、遠いんだね」 「…………はい」 やばい、会話が続かない。 こんなやり取りを繰り返すこと15分。 「あっ着いたぞ。ここが何でも揃うショッピングモール」 ここは本当に何でも揃う。 ホームセンターがあり、スーパーがあり、専門店もある。 後は本屋や100均といった店まで入っている。 ここで文化祭の買い物は充分だ。 今日の買い物は衣装の生地だ。 早速店に入り、メモに記された布を買っていく。 昨晩で美沙は一通りの構造、衣装などを決めてしまったらしい。 こうゆう時の美沙はすごいという事だ。 (あれ…………この布どこにあるんだ?) 何回も来たことないので、よく分からない。 「この色の布ならさっきあっちで見ましたよ」 小鳥遊が横からメモを覗きながら言った。 そして、布のある所へ移動する。 「ありがと。でも、すごいな覚えていられるなんて」 お目当ての物はあった。 それにしても本当に助かったな。 「別に凄くないですよ。たまたまこういう場所が新鮮で覚えてただけですよ」 今の言動に違和感を覚えた。 (新鮮?文化祭とかならこういった場所来るはずなのに) 深くは聞かないことにした。 30分ぐらいして全てが揃った。 今日は布だけで終わりみたいだったので、学校に向かう。
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