偶然の中の秘密

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春姉が家に来て二日目の朝。 起きてまず確認する。 幸い今日は春姉は居なかった。 「おはよう、ゆうくん」 声がしたのはドアの方だった。 「おはよう、春姉」 一瞬びっくりした安心した。 ドアを開けたところだったからだ。 「そろそろ起きる時間かなあって思ったけど残念だったよ」 本当に残念そうに肩をすくめている。 「何が残念だったの?」 分かっているが一応聞く。 俺的には思っている事と違っていてほしい。 「何ってゆうくんの寝顔が見れなかった事だよお」 なんか拗ねてるんですけど。 それに思った通りの回答だ。 昨日だけなのかなって願ってたけど、やっぱり春姉は昔と変わっていない。 この先が思いやられる。 「それにしても春姉起きるの早かったね」 「ああっ!今日は早く行かなきゃいけないんだった」 ほんとしっかりしてるけど、どこかぬけてるよな。 「ほら春姉、落ち着いて深呼吸して」 「ありがとう。ゆうくんお弁当は台所に置いてあるからね」 「ありがと。それじゃあ、いってらっしゃい」 「いってきます。また、学校でね」 慌てた様子で家を出ていった。 起きて、身支度を整え、朝ごはんを食べるために台所に行った。 そこにあったのは二つの弁当箱。 (期待を裏切らないよな春姉って) 俺は頭を抱えていた。
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