偶然の中の秘密

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俺はいつも通り家を出た。 もちろん春姉が忘れていった弁当箱を持って。 (さてと、いつ渡すかな) さすがに朝はマズイだろうな。 昨日の事があるし。 「おはよう、雄也!」 後ろからの声に思わず驚いた。 家を出て、少し行った所だった。 「おはよう、真由香。朝から元気だな」 まったく心臓に悪い。 大体予想はできていたけどな。 「いつも変わらないよ。それにそんなに驚くの」 真由香は口を尖らせている。 「考え事をしてたからだ」 「春香先生の事かな?」 相変わらず鋭いな。 真由香にぐらいならいいか。 「まあそうだな。春姉ったら俺に言ったのに自分の弁当を忘れてったから、いつ渡そっかなって考えてたところ」 「春香先生って何だかほんわかしてて、うっかりしている所あるよねえ」 真由香がそれを言うか。 俺は真由香も一緒のようだと思うのに。 まあそんな事は言えないけどな。 「それでちょっと驚いただけ」 「朝に渡せばいいんじゃない?」 あなたは何をいうんですか。 「真由香昨日の事見てなかったのか?」 「えっ何が?特になかったと思うけど」 こちらも思ってた通りだけど。 「真由香に聞いた俺がいけなかったな。ごめんな」 少し罪悪感が浮かんだ。 「なんでなんで。どうして謝るの!?」 もう何言っていいのか分からない。 「今の事は忘れてくれ」 学校で余分な事言われたら俺の命が危ない。 「うーん、分かったよ」 朝からちょっとした苦労だった。
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